エキサイト20周年企画第七弾|TVドラマから読み解く!恋愛20年史

TVドラマから読み解く わたしたちの恋愛20年史

1998年から現在にいたるまでの20年間、ケータイの爆発的普及、マッチングサイトやSNSの誕生などによって、わたしたちの恋愛の形は大きく変わってきました。
この記事ではエキサイト20周年を祝し、わたしたちが熱狂してきた恋愛20年間を、数々の恋愛ヒットドラマから振り返ると共に、これからの恋愛について考えていきます。

前半はTVドラマ研究家の成馬零一先生のご協力を得て、TVドラマをもとに恋愛の20年間を振り返ります。そして後半はホストクラブやバー、「愛」をテーマにした本を扱う「歌舞伎町ブックセンター」を手がけるSmappa!Group会長の手塚マキさんにわたしたちの「恋愛の未来」についてお伺いしました。

どうかじっくりとお付き合いくださいませ。

【TVドラマ研究家 監修】TVドラマと振り返る恋愛20年史

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バブル全盛期の1980年代後半、東京で広告やデザイナーなどの職業につく若い男女グループの恋愛模様を描いたいわゆる「トレンディー・ドラマ」が多くのヒットを生み出しました。これらの作品の舞台の多くは大企業。安定の中で繰り広げられるおしゃれな恋愛模様が特徴です。

しかし1990年代に入り、バブルが崩壊すると、世の中の雇用形態はこれまでと大きく変わり、恋愛ドラマの舞台、設定にも変化が見られるようになります。

トレンディーの流れを汲みつつ、求められ始めた「枷」

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90年代のドラマの特徴を、TVドラマ研究家の成馬先生は以下のように解説しています。

「98年は80年代後半からのトレンディー・ドラマ(『君の瞳をタイホする』『抱きしめたい!』)や、『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』などの純愛ドラマブームの余波が続いているものの、じわじわと流れが変わっていくときです。
まず『ロングバケーション』、『ラブジェネレーション』といったキムタクブームの始まりによって、テレビドラマで視聴率をとれる主人公が女性から男性(イケメン)へと変わっていきました」(成馬先生、以下同)

93年、“あすなろ抱き”(後ろからのハグ)を流行らせたキムタクの勢いはとどまることを知らず、この頃、異常なキムタクブームを巻き起こしました。タバコの「ハイライト」やタオルをバンダナ風に巻く「キムタク巻き」だけでなく、1997年「ギフト」ではバタフライナイフを振り回すキムタクに熱視線が注がれ、「バタフライナイフやサバイバルナイフを持ち歩くの、かっけぇ」という物騒なブームまで勃発。

また一方ではこんな傾向も。

「極端な設定のものが増えていくのもこの頃です。98年の『神様、もう少しだけ』は女子高生がカリスマ音楽プロデューサーと恋愛するというストーリーで、当時の小室ブームと女子高生ブームを両方取り込んだものですが、女子高生が援助交際でHIVに感染するという『難病モノ』にしたことで切実さを増しました。少し前ですが、90年代はタブーを破るという名目で、教師と生徒の恋愛を描いた『高校教師』や『魔女の条件』なども作られましたね」

この頃から見られる過剰な設定の背景に隠れているのは。“自由恋愛が当たり前になってきた”こと。特別で崇高なものだった自由恋愛が限りなく一般化し、婚前前交渉なんて言葉も全く聞かれなくなりました。90年代後半にはケータイが普及したことで、連絡手段にも大きな変化があり、恋愛はどんどん日常的で当たり前のものに。TVドラマは「純粋な恋愛だけでは退屈なものになってしまう…」という問題を抱え、あの手この手を使って盛り上げられるようになったのでした。

仲間、イケメン妄想劇、童貞…00年代は波乱万丈!

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「21世紀に入るとケータイ小説ブームにより難病モノの熱がさらに高まります。『DEEP LOVE』や『恋空』、『世界の中心で愛を叫ぶ』などがそうですね」(成馬先生、以下同)

この頃、携帯サイト「魔法のiらんど」上で素人の女性による小説投稿が大流行し、多くの書籍、TVドラマが生まれました。小説家・批評家の本田透さんは『なぜケータイ小説は売れるのか』(2008)の中で「売春」「レイプ」「妊娠」「薬物」「不治の病」「自殺」「真実の愛」を挙げ、“ケータイ小説「七つの大罪」”という概念を生み出しましたが、こうした過激で、苦しい内容が増えたのは90年代の「恋愛普通化からの枷」の流れを汲んでいると言えるでしょう。

さらに、成馬先生が指摘するのは恋愛ドラマの「イケメンドラマ化」。

「例えば『花より男子』なら主人公の牧野つくしと道明寺の恋愛ドラマを描いているように見えて、つくしは視聴者の分身、カメラのような存在なんです。彼女を通してF4(花男に出て来るイケメングループ)がわちゃわちゃしているのを楽しむような見方になっていて、つくしはインターフェース。こうした流れは『ごくせん』あたりから出てきていて、それ以降の学園ドラマは基本的にこのような構造です。ロールモデルとしての恋愛ドラマから、アイドル(イケメン)を愛でるための装置に変化しました」

難病、そしてイケメン妄想劇。恋愛ドラマは現実と切り離され、ファンタジー化します。この理由を、成馬先生は、オタクが電車の中で美女を助けることで始まる恋愛を描いた「電車男」を例に以下のように説明します。

「『電車男』『ホタルノヒカリ』など、この頃恋愛ができない人のための恋愛モノが出て来るようになりますが、『電車男』は恋人のエルメスとのやりとりよりも、2ちゃんねるのななしさんにネットで恋愛相談をしているシーンの方が面白おかしく描かれています。デフレ不況、グローバリズム化、終身雇用・年功序列といった日本型経営の変化、それに伴う非正規労働の増加によって00年代に入ると恋愛よりもどう生活していくかという要請の方が強くなり、そのベースとしての仲間の方が価値が高くなったのではないでしょうか」

浮かれた恋愛をしていられない厳しい不況の時代、必要とされたのは恋愛よりも「仲間」、「絆」でした。ドラマの中で描かれていたファンタジー的な恋愛はこうした時代背景における恋愛需要の低さが現れていたものかもしれません。

2010年以降のキーワードは「多様化」と結婚というシステムの「見直し」

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この頃の変化として挙げられるのは「多様化」。2011年には加藤茶さんの結婚を機に歳の差婚が流行語にノミネートされたほか、LGBTという言葉が日本でも浸透しました。

「そういう時代において、年齢や性別はドラマの『枷』としてはインパクトがなくなります。まだ使える枷として残っていたのは、家庭をもつ人を愛してしまう“不倫”でした。不倫をテーマにしてヒットを記録したドラマとしては、『セカンドバージン』『昼顔』などが挙げられます」(成馬先生、以下同)

この頃、過剰なほどに注目されるようになった不倫。2014年に放映された「昼顔」には「不倫は究極の恋愛の形」「本当の恋愛なんて結婚してからじゃないとできないわ」というぞわぞわするセリフがたくさん詰め込まれ話題となりました。

また、あえてこうしたわかりやすい「枷」を使わず、登場人物そのものの恋愛・結婚に対する考え方や在り方を視聴者に問うようなドラマにも注目が集まるようになったことも特徴です。『最高の離婚』では震災の時に東京で帰宅難民となった男女が結婚するものの、数年後に離婚の危機を迎える姿が描かれています。震災は命や人生について考えるとても大きな契機となり、恋愛においても「この人で本当にいいのだろうか」と悩む人が急増。結婚や破局に踏み切る人が増加したのも記憶に新しい話です。

さらに、「恋ダンス」が大流行した「逃げるは恥だが役に立つ」も忘れてはいけないと成馬先生。

「地に足のついた理性的な恋愛模様がおもしろく描かれています。『ムズキュンするラブコメ』という位置づけがされていますが、夫婦を社長と従業員の関係に見立てることで、会社(システム)としての夫婦を描いています」

契約結婚という変わった夫婦のあり方を提示した逃げ恥が、これほどまでに強い人気を誇っているのは、夫婦別性や、事実婚など、「結婚」というシステムの在り方についての見直しが話題になっている現在だからこそかもしれません。

未来はこんなに明るい! 手塚マキが語る「これからの恋愛」

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前半ではこれまでのTVドラマを通して恋愛の20年間を振り返ってきました。が、これから私たちの恋愛はどうなっていくのでしょうか。ここから、お話伺うのはSmappa!Group会長・手塚マキさん。

19歳で大学を中退し、歌舞伎町の人気ホストクラブに入店後、1ヶ月というスピードでナンバーワンに上り詰め、以来常にホスト業界のトップを走り続けてきた手塚さんに、愛、その未来についてじっくりお話を伺いました。

出会いなんてキレイじゃなくていい

−手塚さん、今日はよろしくお願いします。いきなりですが、まず手塚さんの考える愛とはなんでしょうか。

愛は人それぞれ。人間の数だけあっていいんじゃないですか。男女がツガイでいることが素晴らしいっていうのは勘違いだと思う。友達同士でいいし、犬だっていいし。

—なるほど。でも現在「出会いがない」と嘆く女性がとても多くいます。

マッチングアプリとかどんどんやればいいんじゃないですか。どんどん会って、どんどん失敗して。合コン、ネット、別に出会いなんてキレイなもんじゃなくいいでしょ。本屋で同じ本を取ろうとして…ってなんて痴漢ですよ。あとつけてるよ(笑)。

—(笑)。どんどん積極的に行くべきだと。

そう。ホストクラブも。ホストクラブって女性が自ら男性を求めていく場所じゃないですか。それってすごくいいと思う。自分たちで選択する。騙されるんだとしても、自分たちで行って騙される。

—じゃあ婚活パーティーとかに女性が殺到しているという状況も?

もちろんすごくいいことですよ。マッチングアプリもやって、ホストも婚活パーティーもどんどん行く。いいじゃないですか。

処女性なんてくだらない。大切なのは経験が反映された「今」

—でも世の中には根強い処女信仰のようなものもありますよね。

処女性なんて無視無視。そんなこと言ってる男はつまんないし、そもそも経験って今の考え方とか生き方に反映されるもの。大切なのは今なんですよ。「世界中行ってきました!」とか言ってるのに、中身なくて「あれ?」って人いるでしょ。

—ああ(笑)。

そういう人より、例えばアニメにしか興味ないんだけど、アニメから得た世の中のことや、生き方とかをすごく丁寧に考えてる人の方が100倍よくないですか?
僕はアニメに興味ないんだけど、多分アニメ好きな人と付き合ったたら2、3年後にはアニメ好きになってると思う。だって世界中の人がこんなに「アニメ楽しい」って言ってるんだから、多分絶対アニメ楽しいんだと思うんです(笑)。

—確かに。「どんなことをしてきたか」、「どんなものが好きか」…ということ自体が大事なわけではないんですね。

「好きなものや嫌いなものの趣味が合う人がいい」っていうのも、それまでの人生が似てるか似てないかってだけじゃない?
それがどうして嫌いなのかを分析していったらおもしろいじゃん。逆に自分のすごく嫌いなものが、自分の生きづらさに繋がっていることに気づいて、それが嫌いじゃなくなったりする。僕はそういう価値観がひっくり変えることが大好き。

東京という大きな「ラブワゴン」に乗って…

—ここ10年ほどは恋愛に奥手な草食系男子もかなり多いですよね。手塚さんから見て草食系男子ってどう思いますか?

いい傾向なんじゃないですか。僕たちの世代(手塚さんは現在40歳)って「一生懸命勉強していい会社入れば一生安泰」って教育を受けてきたんです。高度経済成長期で、70年、80年代に大企業に入れば、40年間くらい潰れるわけがないっていうのがリアルだった。

—そういう時代だったんですね。

だけど人口増加が止まったり、テレビがみんなの家に行き渡ってテレビの爆発的需要が止まれば、次は成熟社会を目指そうっていう時代になるんです。「あなたはあなたらしく、男でも勝ち上がっていかなくていいんだよ」っていう、「ゆるさ」が教育に織り込まれて。さらにインターネットが普及して勉強とスポーツ以外にもできることが増えて、人生の選択の幅が広がった。

—ぐっと多様化したわけですね。

そう。つまり実際に男性がこぞって草食系に変化したというより、そもそもレースに参加しなくていい人が増えたってだけだと思います。こんなに頑張らなくてもいいって。男は許されたんです。

—なるほど。同時期に女性では「肉食系女子」というものが生まれましたが、草食系男子に比べると本当にごく一部の女子だけという感じがします。

だから女性はもっとガンガンいっていい。女性が動くことでこれまで女性に課されてたプレッシャーがどんどん外れていくんだから。そうなると恋愛自体がもっとおもしろいものになっていくと思いますよ。

—素晴らしいお話をありがとうございます。最後に女性達にぜひメッセージをお願いします。

「ガンガンイケイケ!!」(笑)。
僕たちは東京という大きなラブワゴンに乗っている。恋愛はすぐそこにあります。

まとめ

何かと「現実を見ろ」と言う声が多く聞かれる昨今。「自分のスペックを考えろ」とか「理想の男は残ってないから妥協しろ」とか温度のない言葉がさまざまなメディアに溢れています。

確かに現実に生きている以上、現実を見ることは大切。だけど私たちが見るべき「現実」とは数字とかデータとかそんなことではなくて、これから出会う全ての相手との、新しい、唯一の関係のことなのではないでしょうか。その関係を探るのにアラサーだのアラフォーだの年齢なんてなんの関係もないことは誰にでもわかる事実です。もちろん性別も。

東京という大きなラブワゴンの中でいくつもの新たな出会いと関係を積み重ねていくこと。ネットが生活に馴染んでどんな人とでも出会えるようになり、LGBTという言葉がやっと日本でも認知され始めたこの20年間を経て、今って実は、恋愛がもっと広く、そして明るくなる歴史的な時代なのかもしれません。

(執筆:伊藤紺 イラスト:チルチッタ)
  • ◇成馬零一

    ライター、ドラマ評論家。リアルサウンドやYahoo!ニュース 個人などのウェブ媒体でドラマ評を執筆。主な著作に『キャラクタードラマの誕生 テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。インディペンデントWEBマガジン「ich」を不定期更新中。https://note.mu/narima01

  • ◇手塚マキ

    歌舞伎町総合商社 Smappa! Group 会長。歌舞伎町商店街振興組合理事。ボランティア団体「夜鳥の界」リーダー。19歳で中央大学理工学部を中退し、歌舞伎町の人気ホストクラブに入店後、1ヶ月というスピードでナンバーワンに上り詰める。その後経営の手腕を発揮し、現在はホストクラブやバー、「愛」をテーマにした本を扱う「歌舞伎町ブックセンター」を手がける。

担当者からのコメント

この度はエキサイト20周年コンテンツをご覧いただき、誠にありがとうございました。
また、取材にご協力いただいた皆さまにも、心より御礼申し上げます。

20年前から現在にかけて、私たちの恋愛の形はどんどん変わってきました。
例えばネット上で知り合った人と交際するといった、20年前には当たり前ではなかった出会いが、今では当たり前の世の中になってきています。

今はもう、「男女が出会って、結婚し、子供をもうける」ということだけが、恋愛においての「幸せ」ではありません。
出会い方、性別や年齢、婚姻関係にあるかないか…多様化を認める風潮が浸透している現在、これが「良い恋愛」だ、というような明確な基準はなくなってきました。恋愛における「幸せ」は、世間に左右されるものではなく、自分で決めるものになってきたのです。

ただ、そんなたくさんの恋愛の在り方の中から、あえて「結婚」という形で幸せを手にしたい。だからいま、「まじめに出会いたい」。
エキサイト婚活は、結婚に対して誠実な気持ちをもった方々の出会いを、いままでも、そしてこれからも、サポートしていきます。

今後ともエキサイト婚活をよろしくお願いいたします。

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